認知症の介護ストレスを軽くするコツと解消法

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認知症 介護 ストレス

「愛する家族を守りたい」「できる限り一緒にいてあげたい」「弱音を吐いてはダメ」。あなたはいま、愛情と責任と葛藤に心が押しつぶされそうになっているかもしれません。それではここで、まず深呼吸をしてみてください。一息ついたら、この記事を読み始めましょう。

認知症の介護は、人の命を長く預かることです。ここでは、その大役にかかるストレス軽減のコツと解消法をご紹介していきます。

目次

1、ストレスを溜めないコツは、「あなた自身を知る」こと
1-1、自分の置かれている状況を客観的に観察する
・ストレスセルフチェックテスト
・「アルツハイマー型認知症の親を在宅で介護する家族介護者300人への介護に関する実態調査」からわかる介護者のストレスの原因
1-2、自分ができることと、できないことを分ける
2、溜まったストレスを解消するための解決方法
2-1、声を出す、体を動かす
2-2、思いを吐き出す、同じ経験を持つ人と話をする
2-3、思いや悩みを書き出してみる
2-4、リフレッシュするための時間を作る
3、まとめ

1、ストレスを溜めないコツは、「あなた自身を知る」こと

これからご紹介するのは、「ストレスとの向き合い方」のひとつです。長く続く介護生活では、ストレス解消も大事ですが、できるだけストレスを溜めないことが先決。そんな方法があるわけないと思うでしょうか?

確かに、無意識に感じてしまうストレスをなかったものにはできません。しかし、ストレスの大半を占める「漠然した不安」を軽くする方法はあります。それが「あなた自身を客観的に分析し、知ること」です。ここではその自分分析のきっかけとなる、簡単な方法をご紹介していきます。

1-1、自分の置かれている状況を客観的に観察する

ストレスセルフチェックテスト

一度試してみてほしいのが、下記の「ストレスセルフチェックテスト」。いまのあなたが、どのくらいのストレスを感じているのか、あなた自身が知るための簡単なテストです。8つの質問の中から「はい」と答えた質問の数を数えるだけですから、気軽にチェックしてみてください。

1.介護は主に一人でやっている
2.介護は「自分が頑張らないとダメだ」と思っている
3.介護がいつまで続くのか、先の見えない不安がある
4.介護のためとはいえ、ヘルパーなど他人が家に入ってくることに抵抗がある
5.以前より笑う回数が減り、いつもイライラしている
6.人に会うのが面倒くさい
7.介護の悩みを聞いてくれる人がいない
8.以前より食欲も気力も落ちている

【チェック数6~8個】
かなりストレスが溜まっているようです。認知症のご家族を想う気持ちは素晴らしいですが、いまはあなたの心と体を労ってあげましょう。まずは、親戚や友人、介護施設、相談窓口に電話やメールをしてみてください。話すだけでも少し気が楽になるはずです。

【チェック数3~5個】
ストレスが溜まり始めています。いまの状態で、睡眠や食事のバランスが崩れると、体を壊してしまうかもしれません。介護中に疲労を感じたら、5分でいいので外の空気を吸う、ストレッチをする、など休憩を入れてみましょう。

【チェック数0~2個】
とても上手にストレス発散ができています。この状態を維持するためには、「いまの自分の状態を確認する」のが大切。時々ストレスチェックをして、自分と向き合う時間を作ってみてください。

「アルツハイマー型認知症の親を在宅で介護する家族介護者300人への介護に関する実態調査」からわかる介護者のストレスの原因

2012年3月に製薬会社のノバルティス ファーマ株式会社が行った実態調査(軽度~中度のアルツハイマー型認知症の家族を自宅で介護している30代以上の全国男女300名が対象)では、「要介護者に会話や指示が理解されないことが一番つらい」と答える介護者の声が多く寄せられました。

また、介護者の家族は、記憶障害を改善する薬ではなく、食事や排泄、着替えの仕方など生活する機能の維持・改善が可能な薬の必要性を強く訴えました。これらの介護者の声からも、介護者が感じるストレスは、記憶が失われることではなく、「家族と意思疎通ができないところ」「いままで普通にできたことができなくなることへの戸惑い」に起因していることがわかります。

このように「介護の何がつらいのか?」「介護者はどんなものを欲しがっているのか?」を言葉にしていくことが、介護の負担を減らす医療につながっていくのかもしれません。

1-2、自分ができることと、できないことを分ける

「家族を人に任せるのは、介護放棄しているようで嫌だ」と、家族を想えばこそ一人で抱え込んでしまいがちな認知症介護。相談窓口や介護施設を頼るのは、決して人任せの行動ではありません。

頑張りたい気持ちを一度落ち着けて、「いまの自分にできること」と「できないこと」を書き出してみましょう。「できるかどうかわからないこと」という欄を作るとさらに分けやすくなるのでおすすめです。

とはいえ、実際に「できること」と「できないこと」を書き出していくのは意外に難しいもの。参考までに、下記に例を挙げました。

【例】
認知症初期~中期の症状の母(75歳)を介護する娘(52歳)。父は他界し、親戚は遠方に住んでいるため頼る人がいない。現在は、仕事と介護を両立している。

できることできないこと

表のように、同じ物事に対し「できること」と「できないこと」を同列に書き、質問したい内容も添えておくと相談がしやすいはずです。また、表はパソコンで作るより、大学ノートなどに手書きで書き出すほうがオススメおすすめ。一般的に、パソコン作業は左脳、手書き作業は右脳が働きやすく、自分の状況を観察しやすいのは右脳が働いているときだからです。

一通り書き出したら、「地域包括支援センター」や「保健所」、近所の介護福祉施設に電話やメールをし、「できないこと」と「できるかどうかわからないこと」についてまずは相談。きちんとした知識も持つ専門家が、自力でやっていく方法、援助を申し出る方法、など具体的な手段を教えてくれるはずです。お住まいの地域に相談できる機関は必ずあります。どうか一人で悩まないでください。

全国の介護相談施設の検索はこちら。
http://ansinkaigo.jp/gyosei/

2、溜まったストレスを解消するための解決方法

これからご紹介する方法は、ストレス解消法の一例です。無理に行う必要も、自分に合わない方法を選ぶ必要もありません。「やりたい!」と思ったものだけをチョイスしてみてください。

2-1、声を出す、体を動かす

最も簡単なストレス発散法です。これらは文字通り、体の中に溜まったもの(ストレス、行き場のない情熱など)を吐き出す、あるいは絞り出してくれます。

声を出すなら、本の朗読やCDに合わせて歌うなど、家でできるものから始めるといいでしょう。そして、ときにはもっとお腹から声を出せる河川敷や海辺、高原などへ足を運んでみてください。周囲に人がいないことを確認したら、くすぶった胸の内を大声で発声しましょう。吹き抜ける風が急に爽やかになったと感じるほど、スッキリした気分を味わえます。

また、都会にお住まいの方は、一人で好きなように楽しめる「一人カラオケ」もオススメです。時間が取れる環境なら、フリータイムで声が嗄れるまで歌い尽くしてみるのもいい方法。最近は一人カラオケ愛好者の増加で、一人でも入りやすい店が増えました。「一人カラオケ用の店(http://www.karatetsu.com/tenpo/hitokara/)」もありますので、上手に利用してみてください。

スポーツをするならランニングやスイミングでしっかり汗をかくか、ヨガや太極拳など呼吸法を取り入れた動きで、心身のデトックスをしてみましょう。外出が難しい場合は、「体幹トレーニング」や「カーヴィーダンス」「ロングブレス」などのDVD付きエクササイズの本を購入し、空いている時間に体を動かすだけでも心身がすっきりするはずです。

2-2、思いを吐き出す、同じ経験を持つ人と話をする

心の内を言葉にする、思いを人と共有できる場があるのは精神的に救われるものです。ここでは介護施設や専門の相談窓口より、もっと気軽に情報交換や相談がしやすく、共感し合える仲間と出会える方法をお伝えします。

それは、認知症の方を家族に持つ介護者のセミナーやイベント、サークルに参加することです。役所や市民センターでも募集していますが、参加しやすいのはインターネットで連絡を取り合う方法。下記サイトでは、認知症の家族を介護している方が集まる会や、誰でも参加できるセミナーやイベントを紹介しています。

  • 「認知症の人と家族の会」http://www.alzheimer.or.jp/?cat=8
    特徴:会員制。全国47都道府県に支部があり、情報交換、勉強会、相談などを行いながら会員同士で支え合っている。
  • 「認知症スタジアム」http://dementia.or.jp/family/
    特徴:情報交換、ニュース、相談、仲間探しなど、誰でも参加できる認知症の総合サイト。全国で行われるセミナーやイベントも紹介されている。

知らない人と会うのが不安な方は、

  • 「認知症を学ぶ会(http://www.ninchi119.com/)」や「認知症相談室(https://info.ninchisho.net/bbs)」などインターネットの掲示板を利用するのもひとつの手です。あなたがいま、何をつらいと感じ、どうしてほしいと思っているのか。その微妙な機微を理解してくれる経験者とのつながりは、あなたのストレスを軽減してくれるはずです。

2-3、思いや悩みを書き出してみる

ここで大事なのは、人に見せるために上手に書くことではなく、「思いをありのまま書き出すこと」です。ノートなど線の入った紙より、コピー用紙や画用紙など真っ白な紙と鉛筆(ボールペン、マジックなど好きなもので可)を用意してみましょう。

最初は真っ白な紙に何を書けばいいのかと悩むかもしれません。そういうときは、まず、真ん中にいま一番気になっている言葉を書きましょう。「認知症」「介護」「お母さん」「疲れた」「寝たい」など。その言葉を円で囲み、線を引っ張り「なぜその言葉が気になっているのか」どんどん書き出していってください。

例えば、真ん中が「疲れた」なら、「認知症介護」「寝不足」「時間がない」「旅行したい」など。その言葉から、また「なぜ?」を考えて、どんどん言葉を書き出していきましょう。もう一度言います。これは誰かに見せるものではありません。不平不満も遠慮せず、存分に書き出してください。

疲れた!

夢中になって書いているうちに、ふと「なんかスッキリした」「もうちょっと頑張ってみよう」と気持ちが変化するはず。その小さな変化が、介護を続けるあなたの底力を高めてくれるでしょう。

2-4、リフレッシュするための時間を作る

「自分のための時間」は、どんな方法より疲れた心を癒やしてくれます。「介護に休みなし」は十分承知していますが、認知症の家族を1日だけ施設に預けるショートステイを利用するなどして、月に1日くらいはあなた自身を労る時間を大切にしましょう。

友達と映画やランチに出かけるのもいいですが、これまでやったことのない習い事にとことん挑戦してみるのもオススメです。例えば、茶道や華道の1日体験に行く、乗馬を体験する、太極拳を習う、など。その日に合わせて、衣装から道具まで一式そろえておくと、楽しみが倍増してリフレッシュ効果が高まるでしょう。

体が疲れているなら、「ひたすら惰眠をむさぼる」のもひとつの選択。休息は、介護の活力を養う一番簡単で最も効果のあるリフレッシュ方法といえます。

3、まとめ

認知症介護において、要介護者のケアは大切でしょう。しかし、そのサポートをする家族の「心の健康」も重要なのです。

家族にできるだけ長く、元気でいてほしいと願うからこそ、病気の進行を目の当たりにする介護は大変な仕事です。どうか、つらさを抱え込まず、苦しみを溜め込まず、あなた自身のはけ口を作ってください。

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