認知症に関する資格一覧と資格取得メリットについて

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認知症 資格

高齢化社会の中で注目されている福祉業界ですが、ここで手に職をつけるにも、「まずは資格を取ろう!」と考えられている方も多いかもしれませんね。また、身近な方の認知症介護を経験しさらに知識を深めたい方や、キャリアアップのために資格取得を考えている方もいるでしょう。

ここでは、認知症に関する資格それぞれの取得メリットや受験料など、比較表で見やすく分析していきます。まずは、どんな認知症資格があるのかを知り、自分の目的に合った認知症資格を見つけてください。

目次

1、認知症資格の比較表
1-1、認知症資格メリットとデメリット比較表
1-2、認知症資格試験概要データ比較表
2、認知症資格の試験概要
・認知症ケア専門士認定試験
・認知症ライフパートナー検定試験
・認知症ケア指導管理士
・認知症介護実践者研修(比較参考)
2-1、認知症ケア専門士認定試験
2-2、認知症ライフパートナー検定試験
2-3、認知症ケア指導管理士試験
2-4、認知症介護実践者研修

1、認知症資格の比較表

認知症に関する資格は、現在「認知症ケア専門士」「認知症ライフパートナー」「認知症ケア指導管理士」の3種類がありますが、いずれも民間の団体が認定する資格で、認知症専門の国家資格はありません。

そしてこれらは、昇給や昇格という観点では、あまり評価がされにくいのが現状です。

各資格に関しては、しっかりとした知識や技能を身につけるための学ぶ機会と捉えたほうが良いでしょう。

就職やキャリアアップの観点から、履歴書の上で現在最も有効なのは、都道府県が指定する「認知症介護実践者研修」です。

そこで、このページでは「認知症ケア専門士」「認知症ライフパートナー」「認知症ケア指導管理士」の3種類の資格に加えて「認知症介護実践者研修」を比較参考として、記載していきます。

1-1、認知症資格メリットとデメリット比較表

まずは、取得のメリットとデメリットから。

初心者でも手軽に受けられるかどうか、履歴書に書いた場合の評価、更新の有無などを比べてみましょう。

資格名 メリット デメリット
認知症ケア専門士 身につく知識量が多い。日本認知症ケア専門士会の会員になれる。業界での知名度が高く、履歴書で評価されることもある。更新時に単位の取得が必要なため、新しい知識も身につけられる。 テキストが多く、かなりの勉強量が必要。一次から面接まで、試験に約5ヶ月かかる。諸費用が高い。5年毎の更新に単位の取得が必要。
認知症ライフパートナー 受験料が安く、更新が不要。アクティビティを通したコミュニケーション法を学べ、現場ですぐに活かせる知識や技能を身につけられる。基礎検定は受かりやすい。 資格の知名度が低く、履歴書に書いても評価されにくい。
認知症ケア指導管理士 初級は薄いテキストの勉強だけで気軽に受験が可能。セミナーや講演会などを開催している一般社団法人総合ケア推進協議会との共同認定であるため、同協議会への入会費が特別価格になる。 資格の知名度が低く、履歴書に書いても評価されにくい。2年毎に更新が必要。
認知症介護実践者研修(比較参考) 国の指定する研修のため、履歴書に書くと評価される。知識と実践力が身につく。都道府県によっては受講料が無料。 都道府県によっては受講料が高め。1ヶ月前後の研修に連日参加する必要がある。

1-2、認知症資格試験概要データ比較表

ここでは、受験者条件や具体的な受験料など、各認知症資格の試験概要を表にまとめています。実務経験がないと受験できない資格もあるので要注意です。

資格名 受験者条件 試験時期
(実施回数)
合格率 受験料 更新料
(更新頻度)
認知症ケア専門士 認知症ケア
実務経験が
3年以上ある方
7月~12月
(年1回)
約48% 1次試験
3,000円×4分野2次試験
8,000円
10,000円(5年毎)
認知症ライフパートナー基礎 なし 7月、12月
(年2回)
約69% 4,500円 なし
認知症ライフパートナー応用 なし 7月、12月
(年2回)
約59% 7,000円 なし
認知症ケア指導管理士初級 なし 7月、12月
(年2回)
約55% 7,500円
(学生4,000円)
5,000円(2年毎)
認知症ケア指導管理士上級 認知症ケア指導管理士(初級)
資格取得から1年以上経過した方
※医師などの国家資格を持つ方は
初級試験との併願受験も可
7月~12月
(年1回)
約10% 1次試験
12,000円2次試験
6,000円
5,000円(2年毎)
認知症介護実践者研修(比較参考) 介護福祉士と
同等の認知症介護知識、
認知症介護の
実務経験が
2年以上ある方
平均は
年2回程度
なし 無料~4万円程度※各都道府県
により異なる
なし

※表示料金には、願書の取り寄せ料、テキスト代、登録料などの諸費用は含まれません。

2、認知症資格の試験概要

認知症に関する民間資格の試験方式や内容、合格基準などをそれぞれまとめています。ここでも民間資格に加え、都道府県が指定する「認知症介護実践者研修」を比較参考として挙げています。

<目次>

  • 認知症ケア専門士認定試験
  • 認知症ライフパートナー検定試験
  • 認知症ケア指導管理士試験
  • 認知症介護実践者研修(比較参考)

2-1、認知症ケア専門士認定試験

認知症ケア専門士は、認知症関係の資格の中で最もアカデミックな資格です。そのため取得にはそれなりの勉強量が必要となってきます。また、受験には3年以上の実務経験が必要なため、学生の方などの取得は困難です。

業界内での知名度が高く、資格維持には更新や単位取得など費用と労力がかかります。

実施団体 一般社団法人日本認知症ケア学会
試験方式 1次試験:筆記(60分×4分野)
2次試験:論述、グループ面接(20分)

※1次試験で行われる4分野すべてに合格した方のみ2次試験へ
※論述課題は2次試験申し込みの際に提出

試験内容 1次試験は下記の4分野について後述の指定テキストから出題
1. 認知症ケアの基礎
2. 認知症ケアの実際I 総論
3. 認知症ケアの実際II 各論
4. 認知症ケアにおける社会資源

2次試験の論述は、事例問題についての出題(1次試験終了後)
合格基準 1次試験は、各分野の正答率70%以上

2次試験は、実務能力や実践力、応用力など総合的に判定
テキスト 「認知症ケアの基礎」
「認知症ケアの実際I;総論」
「認知症ケアの実際II;各論」
「認知症ケアにおける社会資源」
「認知症ケア事例集」
備考 ※願書の購入が必要

※テキストは最新版を推奨
※1次試験は1分野ずつの受験も可能(5年以内に全分野の合格が必要)

2-2、認知症ライフパートナー検定試験

認知症ライフパートナーは、アクティビティ・ケアに重点を置いた資格です。認知症の症状とその対応などの基礎知識に加え、アクティビティ(運動、音楽、園芸、回想法など)を通したコミュニケーション法を学びます。

また、基礎検定と応用検定がありますが、応用検定に関しても実務経験など関係なく誰でも受験できるのが特徴です。

認知症ライフパートナー検定試験 基礎検定
実施団体 一般社団法人日本認知症ケア学会
試験方式 マークシート形式(2時間)
試験内容 後述の指定テキストから出題

  •  認知症とは
  •  認知症の理解とケアの基本
  •  認知症とコミュニケーション
  •  認知症とアクティビティ
  •  認知症ケアに関する社会資源

合格基準 70点以上獲得(100点満点)
テキスト 「認知症ライフパートナー検定試験 基礎検定公式テキスト」
備考 ※テキストは最新版で勉強すること

認知症ライフパートナー検定試験 応用検定
実施団体 一般社団法人日本認知症ケア学会
試験方式 マークシート形式(2時間)
試験内容 後述の指定テキストから出題

  •  認知症の主な疾患と特徴
  •  認知症の理解と対応
  •  認知症の予防と対応
  •  認知症と生活習慣
  •  アクティビティ・プログラムの立案
  •  かかわりのためのコミュニケーション
  •  アクティビティの種類と活用
  •  認知症高齢者と居住環境
  •  地域資源・制度の活用と連携

合格基準 70点以上獲得(100点満点)

テキスト 「認知症ライフパートナー検定試験 応用検定公式テキスト」

備考 ※テキストは最新版で勉強すること

2-3、認知症ケア指導管理士試験

認知症ケア指導管理士も、民間資格です。よく受験者に誤認されがちですが、厚生労働省が認可している団体が認定しているだけで、国家資格ではありません。

資格のレベル改善のため、一般社団法人総合ケア推進協議会が共同認定に加わり、平成26年には上級資格も創設されました。

認知症ケア指導管理士試験(初級)
実施団体 財団法人職業技能振興会・一般社団法人総合ケア推進協議会
試験方式 マークシート形式(90分)
試験内容 後述の指定テキストから出題

  •  認知症高齢者の現状
  •  認知症の医学的理解
  •  認知症の心理的理解
  •  認知症ケアの理念と認知症ケア指導管理士の役割
  •  認知症ケアの実際
  •  日常生活支援
  •  認知症への薬物療法
  •  認知症への非薬物療法
  •  家族への支援
  •  認知症ケアにおける社会資源
  •  応用問題(時事問題など)

合格基準 総得点の7割以上
※問題の難易度により合格基準が補正される場合あり
テキスト 「認知症ケア指導管理士試験公式テキスト」
備考 ※願書は公式サイトからダウンロード可能

※テキストは最新版で勉強すること
※認定証交付の際、別途2,000円の認定登録料が必要

上級認知症ケア指導管理士試験
実施団体 財団法人職業技能振興会・一般社団法人総合ケア推進協議会
試験方式 1次試験:マークシート方式(90分)
2次試験:論述(90分)

※1次試験に合格した方のみ2次試験へ
試験内容 1次試験、2次試験共に、認知症ケアを含めたケア全般に関する状況設定問題やケアに関する考えを問う問題を出題

※創設されたばかりのため傾向が定まっていない
合格基準 1次試験は、合否通知時に合格最低点を発表
2次試験は、課題に対する対応力や判断力で判定
参考書籍 「総合ケアシリーズ シリーズⅠ 『認知症ケア論』」
「総合ケアシリーズ シリーズⅡ 『多角的ケア論』」

備考 ※平成26年に創設
※願書は公式サイトからダウンロード可能
※テキストは最新版で勉強すること
※認定証交付の際、別途2,000円の認定登録料が必要

 2-4、認知症介護実践者研修(比較参考)

認知症介護実践者研修は、原則として、既に事業所に勤める介護職員が対象です。各都道府県が指定する実施団体により、費用やスケジュールが異なります。民間資格と比べ、履歴書に書くとしっかり評価されるのが利点です。

実施団体 各都道府県が指定する社会福祉法人や公益財団法人
研修方式 講義・演習 1週間弱(実習成果の発表会などを含む)
自施設実習 2~4週間
研修内容 講義・演習

  •  新しい認知症介護の理念の構築
  •  認知症高齢者の医学的理解
  •  認知症高齢者の生活環境
  •  認知症高齢者の心理学的理解と生活の捉え方
  •  意思決定支援と権利擁護
  •  認知症高齢者の理解に基づいたアセスメントと支援
  •  コミュニケーションの本質と方法
  •  認知症高齢者の家族の理解と高齢者との関係の理解
  •  認知症高齢者の生活支援の方法
  •  生活の質の保障とリスクマネージメント

自施設実習

  • 自身の勤務する施設において、講義・演習で学んだ内容と自己課題をふまえた実習を行う

修了基準 全日程への参加が必須
参考書籍 「新しい認知症介護 実践者編」など

※研修時に使われるかどうかは、実施団体による
※申し込み時に課題レポートを求められる場合あり
※申し込み方法をはじめ、実施団体により詳細がすべて異なるため、勤務地のある都道府県が指定する団体への問い合わせが必要

3、まとめ

資格取得に費やす努力や費用に見合う、満足のいく知識や評価が得られるかどうか。その点をふまえて、ご自身の目的に合った、納得のできる資格を選ぶことが大切です。

就職や昇給などが目的の方は、きちんと評価されやすい認知症介護実践者研修を受講する道もあります。ぜひ職場で受講機会の有無を確認してみてください。

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