これって認知症の初期症状? 気づいてほしい発症のサイン

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認知症_初期症状

尊敬していた両親、共に苦労を乗り越えてきたパートナーが認知症かもしれない。物忘れが多くなった家族を見て、そんな考えがよぎっても、すぐに対処ができる人は多くありません。

もちろんその記憶障害は、加齢によるただの物忘れの可能性もあります。しかし、もし認知症の初期症状であったら、すぐに手を打たなければ症状はどんどん進行してしまうでしょう。ここでは、「物忘れ」と「認知症」の違いを踏まえつつ、気づいてほしい初期症状のサインについて説明します。

目次

1、認知症初期症状とはここが違う「物忘れ」「うつ病」
1-1、認知症と物忘れの違い
1-2、認知症とうつ病の違い
2、認知症発症の初期症状
2-1、代表的な4つの認知症の「特徴」
2-2、代表的な4つの認知症の「初期症状」
2-3、【実例】家族が気づいた認知症の初期症状
3、まとめ

1、認知症初期症状とはここが違う「物忘れ」「うつ病」

認知症の初期症状では、さまざまな病気と似通った症状が見られます。間違われやすいのは、加齢による物忘れ、うつ病。認知症とどのように違うのか、その見分け方をご説明します。

1-1、認知症と物忘れの違い

昨日の食事の内容を忘れるのが「物忘れ」、いま食事したことを忘れるのが「認知症」です。

加齢による物忘れは体験の一部分を忘れ、認知症は体験そのものを忘れます。記憶障害に伴い、日常生活に支障が出るほど判断力と理解力が低下し、意思疎通がしづらいのも認知症の特徴です。

1-2、認知症とうつ病の違い

うつ病は、気力の低下、取り巻くすべてのことに対する不安や焦りにかられるのが特徴。認知症は、記憶が失われていくことと、記憶が失われることへの不安や焦りを抱くのが特徴です。

うつ病にも記憶障害は見られますが、認知症が最近の記憶が丸ごと失われやすいのに対し、うつ病は忘れたい記憶を忘れる傾向も。いずれにせよ、この2つは似た部分が多く、専門家でも判断が難しいといわれます。「何かおかしいな」と感じたら、すぐに認知症治療を専門とする病院に相談してください。

2、認知症の初期症状

認知症の種類は1つではなく、初期症状でも「この症状が出たら認知症」と一概には断言できません。ここでは、代表的な4つの認知症「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「ピック病」の実例を挙げて、対処法を考えていきます。

2-1、代表的な4つの認知症の「特徴」

まずは、代表的な4つの認知症の特徴をまとめた、下記の表をご覧ください。

代表的な4つの認知症の特徴

認知症と一言でいっても、型によって違いがあります。その違いを踏まえ、日常生活の中で起こりうる「初期症状」を探っていきましょう。

2-2、代表的な4つの認知症の「初期症状」

アルツハイマー型認知症

記憶障害が顕著に現れるアルツハイマー型。初期の段階からよく見られるのは、「短気になる(些細なことでもすぐに怒るようになる)」「同じことを何度も言ったり聞いたりする」「置き忘れやしまい忘れが目立つ」など。また、趣味に興味がなくなったり、お化粧や身だしなみを気にかけなくなったりします。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症では、ごく初期の状態から幻覚、特に幻視が現れます。「となりの○○さんが部屋に入ってきて座っている」「孫が来て遊んでいる」「座敷で3人の子どもたちが走り回っている」と、とてもリアリティのある幻視が多いのも特徴です。物忘れなどの記憶障害より、幻視や妄想の症状が先に現れるため、うつ病や統合失調症と間違われることもしばしばあります。

脳血管性認知症

初期では、計算力や理解力、記憶力など知的機能が不均一に障害されます。運動麻痺、歩行障害、尿便失禁、嚥下障害など、何らかの神経が阻害されて起こる症状も見られるでしょう。また、頭重感、めまい、ふらつきなどの自覚症状があり、うつ状態になりやすいのが特徴です。脳血管性認知症の発症の確率を上げるのは、脳卒中と同じく生活習慣病(特に高血圧と糖尿病)の進行具合。初期症状を見つけるより、まずは「脳卒中になった原因=認知症発症の原因」を取り除くことが大事です。

ピック病

40~50代に多い若年性認知症のひとつ「前頭側頭葉変性症」には、「前頭側頭型認知症」「進行性非流暢性失語症」「意味性認知症」の3つのタイプがあります。その前頭側頭型認知症の約8割を占めるのが、「ピック病」です。認知症の代表的な症状である記憶障害はほとんどなく、初期から性格の変化と社交性の消失が強く現れます。計算力や判断力などの知的機能は失われませんが、理性をつかさどる前頭葉が正常に働かなくなるため、物を盗んだり、店頭に並んでいるものを食べてしまったりするでしょう。

ピック病は認知症の中でも認知度が低く、周囲はなかなか病気であることを理解できません。働き盛りの年齢で発症することから、万引きでつかまって会社を辞めさせられるケースも相次いでいます。万引きで会社を辞めさせられるか、ピック病と診断されて休職扱いになるか。これによって、患者や家族の生活も変わるもの。医学界では、周囲の理解を得るためにも、診断基準の早期確立と病名の周知が急がれています。

2-3、【実例】家族が気づいた認知症の初期症状

ここでは、実際に「認知症と診断された方のご家族」が気づいた認知症の初期症状の中でも、特に多いものをご紹介します。

  • 同じことを何度も言ったり聞いたりする
  • 物の名前が出てこなくなる
  •  置き忘れやしまい忘れが目立つ
  •  時間や場所の感覚が不確かになった
  •  病院からもらった薬の管理ができない
  •  ガス栓をよく締め忘れる
  •  計算の間違いが多い
  •  サイフを盗まれたと言って騒ぐ
  •  以前は興味があったことに対して関心が失われた
  •  テレビドラマの内容が理解できなくなった
  •  身だしなみに気をつかわなくなり、おしゃれをしなくなった
  •  ささいなことで怒りっぽくなった

これらはすべて、「以前と比べて多くなった」「何かがおかしい」とご家族が感じた、認知症の方の変化です。認知症は、専門家であっても診断が難しい病気。初期症状の診断には「家族だからこそわかる小さな違和感」がヒントになることが多いといいます。

生活の中で気づいたことはできるだけメモし、忘れずに医師へ相談しましょう。気のせいかな、と思うような変化に気づけたことが、認知症治療を的確にスタートさせる決め手になるかもしれません。

3、まとめ

どのような認知症があり、どのような症状があるかについて知ることは、これから介護を行っていく上でとても大切です。けれど、初期の段階で医師ではない私たちができることは、その症状がどの認知症に当てはまるのか考えることでなく、家族の変化に気づき、できるだけ早く治療をスタートさせること。

認知症は、対処が早ければ早いほど進行が遅くなる可能性があります。「認知症かも?」と不安に思ったときは、一刻も早く専門の病院、クリニック、かかりつけ医に診てもらいましょう。

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